2011年2月27日日曜日

移動平均線が支持線・抵抗線として機能する理由

移動平均線すら使わないでトレードするトレーダーも中にはいて、彼らはプライスアクショントレーダーなのですが、私は移動平均線は必ず表示するようにしています。移動平均線は価格の平均値を線にしてチャートに示してあるので視覚的にとても便利ですね。価格がその平均値を上回るか下回るかが常にポイントとなっていますね。これらは一見すると支持線・抵抗線のような機能も果たしています。或いは、トレンド発生のポイントとなるクロスもよい参考となります。これらは必ずしもエントリーサインではないものの、一つの目安になると思います。

ところで、クロスについては前の記事で解説したとおりですが、(クロスの秘密)それでは移動平均線の支持線・抵抗線のような働きのロジックはなんでしょう?多くの集団が移動平均線を見て支持線・抵抗線の価格レベルに目をつけると思いますか?

仮にそうだとして、具体的にどういう風な仕組みなんでしょう?実は、移動平均線自体にそういう機能を持っていません。ですから集団心理と考えるのは悪い選択肢ではないのですが、移動平均線は本来支持線・抵抗線のツールではありませんので、その基準がありません。

ボリンジャーバンドでトレードをする人は分かりますが、ボリンジャーバンドのミドルバンドはよく支持線・抵抗線である事が視覚的に確認できます。それを元にトレードしても成功する事はもちろんあります。例えば、価格がσ1付近を移動している場合だと、ミドルラインが支持線になっているアップトレンド中のパターンです。ですからよく押し目買い・戻り売りのポイントとして知られています。

ボリンジャーバンドのミドルバンドは移動平均線ですね。普通は20のSMAです。これはパラメーターが単に適切(多少の関係性あり)である為に支持線・抵抗線として機能するわけでもありません。実際、殆ど無視してもOKなほどダマシの回数も多いですね。良く使われるパラメーターは20、21,25,50,75,100,200ですが、確かにこれらは中途半端な数値のパラメーターよりは正確です。(例えば11,19,37,91,117,237 などなど適当に・・)そういうのは経験者が過去のデータから発見したものですから確率としては無視できません。

さて、移動平均線が支持線・抵抗線の機能を持つ場合のプライスアクションのロジックはこうです。価格が律儀に移動平均線に沿って反発するパターンは、押し目買い・戻り売りでよく見かけます。はっきり言ってこれ以外で移動平均線が支持線・抵抗線の機能を果たす場合は偶然性が多いでしょう。なぜなら、押し目買い・戻り売りはトレンド中の価格の動き限定だからです。そして、トレンド中の価格の動きは安値の切りあがり・高値の切り下がりというパターンがあり、そのパターンが偶然にも移動平均線に支持線・抵抗線の機能を与えているのです。

*パターンの発生は偶然ですが、パターンが確認された後の価格の動きとパターンが続行している間は必然性の可能性があるわけです。つまり、価格の動きに必然性があるという事です。これがプライスアクショントレードの基本です。

さて、トレンドというパターンの価格の動きには高値・安値の更新が原因ですが、実はこれが移動平均線の支持線・抵抗線の機能の正体です。前の記事にも書いたように、長期投資家によるポジションの保有期間の間がトレンドの期間である原因となっていて、彼らがポジションを決済すればトレンドの終了という場合が多くあります。デイトレーダー達は売買の期間が短いのでチャート上でリトレースメントを作ります。これは決済が交互に行われていて価格が元に戻ろうとするものですよね。

ところがスイングトレードをする機関投資家などの長期投資家はポジションを持ったままですので、彼らが持っている分は決済がない為に価格は戻りません。これがトレンドを支える要因となっています。それが偶然にも適切な数値によるパラメーターと合った場合、移動平均線が支持線・抵抗線の働きをするわけです。

偶然にパラメーターがその時の相場の動き(一時的な必然性のある価格の動き)と重なった場合に移動平均線の支持線・抵抗線が見られるわけです。

パラメーターについて

視覚的に価格との位置関係をよく観察しているとある種のパターンなども発見できます。これは人によって違いますが、その理由は使っているパラメーターや見ている時間足チャートが違うからでしょう。或いは移動平均線そのものがEMAやWMAであったりします。

*単純移動平均と加重移動平均(WMA)と指数移動平均(EMA)の3種類があります。

単純移動平均は単にパラメーターの数値による個数のロウソクの平均をとったもので、計算する全てのロウソクを平均化したものです。過去のロウソクと現在のロウソク全てを平均的に捉えますから若干遅く反応するわけです。

これを克服したのがWMAとEMAです。WMAは、現在に近いロウソクが過去のデータ(ロウソク)より重要と考えて平均をとったもので、最も過去のデータは考慮しないようになっています。これと似ていますが、EMAも現在を重視して過去のデータの平均を取っています。EMAの方は全てのロウソクを考慮する部分が違っています。実際にチャート上で見ると分かりますが、価格に敏感に反応するのはWMAとEMAです。ちなみにこれらのクロスの方がSMAより早いエントリーサインが確認できます。

FX関連の本や成功者のトレード手法、その他の情報源で知っていると思いますが、良く使われる移動平均線のパラメーターの数値は利用価値があります。しかし、どれがベストであるかは一概に言えません。結局、その時の相場の動きに適したパラメーターをチョイスする方がベストの使い方で、これはインジケーターの最適化の記事で紹介したロジックと同じです。*その記事では主に使う時間足チャートによってパラメーターを変えるという内容。

あるトレーダーはちょっと変わった数値を用いてエントリーサイトして使っています。彼はそれでも結構稼いだトレーダーですが、それは彼がその数値による移動平均線に慣れているからでしょう。私はEMAを使っていて、使っている数値よって描かれる線と価格の位置関係を見るのに慣れたので、別のパラメーターで相場を分析するとちょっと戸惑ってしまいます。視点が違うので違和感がありますね。

トレードスタイルがスキャルピングなら、4時間足チャートはそれ程使わないでしょう。ですから、チャートによって移動平均線のパラメーターも選んだ方が適切だと思います。そのほかには、どういう目的で移動平均線を使うか(エントリー用、トレンド確認用)によってもパラメーターの数値が異なると思います。

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